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倫理学のすゝめ

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「この世に偶然はない」xxxHOLiC(ホリック) 全19巻 感想・考察

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大学の友達が貸してくれたxxxHOLiC(ホリック)がめちゃくちゃ面白かったので感想と自分なりの考察を書きました。

 

 

xxxHOLiCとは?簡単に紹介

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あらすじ

<アヤカシ>が見える高校生・四月一日君尋(ワタヌキ キミヒロ)は、<ミセ>の店主・壱原侑子(イチハラ ユウコ)と出会う。
「どんな願いでも叶える」という彼女。しかし「それに見合う”対価”」が必要という。
<アヤカシ>が見える体質を変えてもらうために<対価>として半強制的に<ミセ>でアルバイトをさせられることになる・・・。

TVアニメ「xxxHOLiC」公式サイトより引用

主な登場人物

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壱原 侑子
願いを叶える店の店主。人の運命さえも変える魔力を持つ。「次元の魔女」

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四月一日 君尋
アヤカシが視え、アヤカシを惹きつける体質を持つ高校生。この体質を変えてもらう対価として、侑子の店で家事アルバイトを始める。

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百目鬼 静
四月一日の同級生。弓道部。住職の生まれのため、弓を用いてアヤカシを祓う力を持つ。

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九軒 ひまわり
四月一日の同級生。自分と関わった人間を不幸にしてしまう性質を持つ。 

『ツバサ』とリンクする世界

偶然ですが同時にCLAMP作品の『ツバサ-RESERVoir CHRoNiCLE-』を借りて読んでいたのですが、この2作品には密接なつながりがあります。

まず『ツバサ』は小狼がサクラ姫の羽根を集めるために様々な世界を旅していく物語ですが、この異世界間の移動を可能にしているのが他でもない「次元の魔女」壱原侑子の魔力によるものです。

冒頭だけでなく、要所要所で2作品の重要なつながりが描写されているので、まだ読んでない方はツバサの方も絶対読んだ方がいいです(自分もまだ途中)。

読み終わった感想と考察

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結論から言うと完全にハマりました。

特にストーリーが急展開を見せる後半にもなると、せっかくの善意で貸してくれている友達に「はやく続きをもってこい」と思わず百目鬼並みの雑な催促をしていました(毎回持ってきてくれて感謝)

人間の内面をとことん描いた傑作

で、この作品の何が良かったかというと、アヤカシや魔力などファンタジー要素を十分に含んでいながら、常にテーマが"人間"そのものであったこと。

もっと言えば、人間の内面が物語を進行させていくわけで、アヤカシという存在はその人間の心の動きを可視化させる上で極めて重要な役割を担っていたように思います。

全体的なストーリーはあるものの、基本的には「店に来た人の願い」を元に各話が進行していくのがxxxHOLiCの物語。

そこで侑子あるいは四月一日たちが様々な人の願いを叶えていくわけですが、

  • 虚言癖のある女性が自分のその癖に気づかずに嘘をつき続ける話
  • 猿の手で自分の願いを叶え続けた女性の話
  • インターネットがやめられない女性の話

などなど、人間の欲望や見栄など心の闇の部分が各所で見え隠れします。

思い返すとxxxHOLiCで不幸になってる人がほとんど女性のような気もしますが(笑)、最終的に不幸になってしまう笑ゥせえるすまん的な話が個人的に好きだったのでテンポよく読めたのだと思います。

こういう心の闇の部分って、人間なら誰しも持っているはずなんですよ。そういう自分のズルい部分やコンプレックスと重ねながら読むと、いい終わり方をしない話があってもつい先を読みたくなってしまう。

また、依頼人が不幸になっても気にすることなく毎日食ったり飲んだり騒いだりしてる侑子達が面白かったです。

「対価」と「無償の愛」

しかしながら「xxxHOLiC」という作品が前述のように人間の黒い部分を描いた作品というわけではなく、主人公達の関係性の変化や個人の成長なども描かれ、関わっていく人々が幸せになる話も少なくありません。

作中で侑子は「与えられたモノには須(すべから)く それに見合うだけの代償、対価が必要」と言っています。

例えば猿の手で叶えた願いの分、女性は自分の命を対価として払わなければならなくなったわけですね。

この対価という考え方ですが、今日怠けた場合、翌日その分忙しくなったりとか、生活の中で誰しも思い当たることがあると思います。

僕も今まさに大学の課題をせずにブログを書いてるところなので、この対価をあとで支払うことになると思いますが、そんなわけでこれは現実世界でも無視できない法則と言えるでしょう。

さて、作中で僕が一番印象に残っているのが霊能力少女・小羽とその母親との話です。

小羽は母親の願いを叶えるためにTV出演などこき使われていましたが、変わらず小羽は母親のことをずっと愛していました。

母親は娘から与えられていた愛の対価を払えていたでしょうか。答えはNO。

最終的に母親は児童虐待などと世間からバッシングを受けることになります。これも考え方次第では対価を払わなかったツケとなります。

僕はいわゆる「無償の愛」と言われる「見返りを求めない行動」にも対価が支払われなければならないという考えに最初は疑問を持っていましたが、考え方を変えれば「無償の愛は報われなくてはならない」という前向きなメッセージにも捉えられるので、自分の中でかなり深い話となりました。

この物語のラストに小羽が喋るセリフで「幸せは、お金とかテレビに出るとかそういうのじゃなくて、ただ大好きなひとが幸せで一緒に居てくれるだけでいいんだって」という言葉が刺さりました。

確かに、美味しいものを食べたり、自分にいいことがあれば幸せだと思いますが、それを共有できる人が居なければ虚しいと思います。

僕自身も、自分よりも他人を喜ばせるのが好きなタイプの人間なので「幸せってこういうことなのかな〜」と漠然と思っていたものがうまく言語化できた気がします。

地位とかお金とか、物質的な幸せに執着しないようなパートナーを見つけられれば、それが本当の幸せということなのではないでしょうか。

 

 

最終回で四月一日が見た夢と百目鬼のタマゴ

物語のラストスパートとしては侑子消滅後、四月一日が店を継いでいくわけですが、最後に四月一日が見た夢の中でずっと会いたいと願っていた侑子と再会しますよね。

夢の中で侑子がカゴを開けると中の鳥が羽ばたいてゆきます。

四月一日のもとへ訪れた小狼によって、四月一日の華押が「鳥」になったエピソードから、つまり夢の中の鳥は四月一日を表しているわけです。

そして蝶はもちろん侑子のことであるので、あの夢が意味しているのは、四月一日が継いでから100年以上が経過し、いつのまにか四月一日が侑子の力を超えていたということで間違いないはずです。

つまり、侑子を待つという願いの対価として店を続けて来た四月一日でしたが、その対価も十分払い終え、自由になっていいという侑子からのメッセージだったのではないでしょうか。

次に代々の百目鬼が受け継いで来たタマゴ。

あれは最初読んでいるうちは四月一日を消滅から救うための道具だと思ってたんですけど、最終回で百目鬼(子孫)が「侑子さんのことを忘れたくならないか」と問いかけ、四月一日が否定するシーンの後に、「これ(タマゴ)はまだ使う瞬間じゃないらしい」と呟いているので、「侑子のことを忘れる」ための道具と考えるのが普通かなと思います。

おそらくこの百目鬼も、子供にタマゴを託して死んでいくのだと思いますが、四月一日と百目鬼の関係がこの先も延々と続いていくことを想像すると気が遠くなりました。

『BLOOD-C The Last Dark』の犬の正体

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ところで僕はBLOOD-Cというキャラ原案がCLAMPのアニメが結構好きだったんですけど、よくよく考えると劇場版『The Last Dark』に登場する犬って四月一日にしか見えないんですよね。BD借りて来て急いで確認したんですけど主人公の小夜が連れられて入っていく家も完全に「願いが叶う店」だし、四月一日とは名乗ってませんでしたがちょっとしたゲストキャラクター的な扱いでしょうか。

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xxxHOLiC知ってる状態で観てたらテンション上がってたに違いない。

続編『xxxHOLiC・戻』

というわけでもう完全に終わったと思って少し落ち込んでたんですけど、この物語には『xxxHOLiC・戻』という続編があるんですね。これも後日貸してもらえることになったので、読み終わったらまた改めて感想を書きたいと思います。

×××HOLiC・戻(4) (KCデラックス ヤングマガジン)

×××HOLiC・戻(4) (KCデラックス ヤングマガジン)

 

 

CLAMP作品ハマりました。

現在CCさくらの『クリアカード編』を読んでますが、他の作品も読んでみたいです。

 

この世に偶然はない、
あるのは<ヒツゼン>だけ

 

僕がこのマンガに出会えたのも偶然ではないし、明後日のゼミで教授に殺されるのも<ヒツゼン>なんです。 

 

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