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平成29年東京農工大学編入試験問題解答 力学 床面と坂を転がる円板

過去問リクエスト。

  

問題

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問題を解く前の予備知識

「すべりがない」時、静止摩擦力がはたらく

今回の問題の肝は、円板と床面の間には「すべりがない」ということ。剛体がすべらずに運動する時は、重心の運動と回転運動との間にはある幾何学的な関係が生じるので、以上の2つの運動は独立でなくなります。これを利用して運動方程式と組み合わせ、未知の静止摩擦力を消去したり導出したりできます。今回はそんな問題。

剛体の運動エネルギー

基本的なことになりますが簡単におさらい。質点の運動エネルギーは\(\frac{1}{2}mv^{2}\)ですが剛体はそれだけでは不十分です。 剛体の運動エネルギーは

重心の運動エネルギー+回転エネルギー

です。回転エネルギーは慣性モーメントを\(I\)とすると\(\frac{1}{2}I\omega^{2}\)です。

円板の回転で進む距離

剛体にすべりがない時、回転した弧の長さだけ前に進むことに注意。

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解答

(1) \(A,B,C\)すべての点は水平方向に\(r\omega\)の速度で進むが、\(A,C\)においては\(r\sin \omega t\), \(-r\sin\omega t\)で座標が単振動するので、それを加えると

\begin{eqnarray}v_{A}&=&r\omega - r\sin\omega t\\v_{B}&=&r\omega \\v_{C}&=&r\omega + r\sin\omega t\end{eqnarray}

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(2) 設問より、運動エネルギーKは

\begin{eqnarray}K&=&K_{a}+K_{a}=\frac{1}{2}mv^{2}+\frac{1}{2}I\omega^{2}\\&=&\frac{1}{2}mv^{2}+\frac{1}{2}\cdot\frac{1}{2}mr^{2}\cdot\left( \frac{v}{r} \right)^{2}\\&=&\frac{3}{4}mv^{2}\end{eqnarray}

 

(3)すべりがないので、静止摩擦力\(F_{2}\)がはたらく。

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これについて、水平方向と回転方向の運動方程式を立てると

\begin{eqnarray}m\frac{dv}{dt}&=&F-F_{2}\\I\frac{d\omega}{dt}&=&rF_{2}\end{eqnarray}

ここで、\(\frac{dv}{dt}=r\frac{d\omega}{dt}\)より、\(F_{2}\)を消去し整理すると

\begin{eqnarray}m\frac{dv}{dt}&=&F-I\frac{d\omega}{dt}\\m\frac{dv}{dt}&=&F-\frac{1}{2}m\frac{dv}{dt}\\\frac{dv}{dt}&=&\frac{2}{3m}F\end{eqnarray}

 

(4)最大静止摩擦力は設問より\(\mu mg\)なので、すべらず転がるためには

\begin{eqnarray}F_{2}\leqq \mu mg\end{eqnarray}

また、(3)で立てた連立方程式で\(\frac{dv}{dt}\)を消去し、\(F\)と\(F_{2}\)を残すように解くと

\begin{eqnarray}2F_{2}&=&F-F_{2}\\\frac{1}{3}F&=&F_{2}\leqq \mu mg\\F&\leqq & 3\mu mg\end{eqnarray}

 

(5) (3)より

\begin{eqnarray}\frac{dv}{dt}&=&\frac{2}{3m}F\\v&=&\frac{2F}{3m}t\end{eqnarray}

これが坂を登り始める時の初速=\(v_{0}\)となる。

次に(2)で求めた運動エネルギーに\(v_{0}\)を代入して

\begin{eqnarray}\frac{3}{4}mv^{2}&=&\frac{3}{4}m\cdot\left(\frac{2F}{3m}t \right)^{2}=\frac{F^{2}t^{2}}{3m}\end{eqnarray}

また、最大高さでは運動エネルギーはゼロで、位置エネルギーがMAXで\(mgh\)なので

\begin{eqnarray}mgh&=&\frac{F^{2}t^{2}}{3m}\\h&=&\frac{F^{2}t^{2}}{3m^{2}g}\end{eqnarray}

まとめ

坂をのぼる剛体の図が出てくると一見難しそうに見えますが、問われていることは本当に基礎的なことのみで非常に農工大らしい問題だと思います。

23年度から6年ぶりに農工大が剛体の範囲を出してきましたので、しっかり対策しておいた方がいいですね。またこの大学は例年ばねか摩擦が好きなのですが、今年度は摩擦がチョイスされました。無責任な憶測ですが30年度はばねが出る可能性高いです。

この問題はこの本で解ける

演習力学 (セミナーライブラリ物理学 (2))

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